外壁塗装を検討する際に、どんな塗料を選べば良いのか悩む方は多いです。塗料にはさまざまな種類があり、耐久性や価格、性能に違いがあります。
この記事では、外壁塗料の種類をわかりやすく解説し、あなたの住まいに合った最適な塗料の選び方をご紹介します。
築年数が経過するとよく見られる「外壁の反り」や「浮き」。そのまま放置してしまうと、雨漏りや下地の腐食など深刻なトラブルにつながることも。
▶︎【外壁サイディングの反り・浮きはなぜ起こる?】で、詳しい原因と対策を解説しています。
塗料選びが重要な理由とは?
外壁塗装は、ただ見た目をきれいにするだけでなく、建物を雨や紫外線から守るという大切な役割があります。
そのため、塗料の性能によって、建物の寿命や塗替え頻度が大きく変わります。
また、一度塗装すれば10年以上そのままになることも多く、あとから「もっと耐久性のある塗料にしておけばよかった」と後悔するケースもあります。
だからこそ、塗料の種類や特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
塗料選びにおいて見落とされがちなのが、「防水性」です。
外壁や屋根にとって、水の侵入は劣化の最大の原因といっても過言ではありません。
雨水や湿気が建物内部にまで入り込むと、構造材の腐食、断熱材の劣化、カビの発生、さらにはシロアリ被害につながることもあります。
特に日本は梅雨や台風など、雨が多い気候であるため、防水性の高い塗料を選ぶことは非常に重要です。外壁表面をしっかりと守りし、長期間にわたって外壁内部への水の侵入を防ぎます。
つまり、防水性の高い塗料は、建物の寿命を守るための“バリア”のような存在だと言えます。
後から雨漏りや外壁の剥がれといったトラブルに発展することもあるので業者と相談し、自宅の構造や立地に合った塗料を選ぶことも大切です。
外壁塗料の主な種類
外壁塗料にはいくつかの主な種類があります。それぞれの特徴を知っておきましょう。
アクリル塗料
アクリル塗料は、かつて主流だった塗料です。価格が非常に安く、発色も良いため、現在は一時的な塗装やDIY向きとして使われることがあります。
- 耐用年数:3〜5年
- メリット:安価で扱いやすい
- デメリット:耐久性が低く、劣化が早い
ウレタン塗料
ウレタン塗料は柔らかく、密着性に優れている塗料です。価格と性能のバランスが良く、部分補修や木部・鉄部への使用に適しています。
- 耐用年数:5〜7年
- メリット:コストパフォーマンスが高い
- デメリット:紫外線に弱く、色あせやすい
シリコン塗料
現在も人気のあるシリコン塗料です。価格と耐久性のバランスが良く、住宅の塗装では定番となっています。
- 耐用年数:10〜12年
- メリット:耐候性・耐水性が高い
- デメリット:フッ素や無機よりは耐久性がやや劣る
ラジカル制御型塗料
近年注目されているのがラジカル制御型塗料です。紫外線による塗膜の劣化を引き起こす「ラジカル(劣化因子)」の発生を抑える技術が使われており、シリコン塗料よりも耐久性が高い傾向にあります。
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耐用年数:12〜15年
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メリット:高耐候性・コストパフォーマンスが良い・汚れにくい
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デメリット:選べる塗料が少ない
フッ素塗料
フッ素塗料は、高価格ながらも非常に高い耐久性を持つ塗料です。塗替えの回数を減らしたい方におすすめです。
- 耐用年数:15〜20年
- メリット:長期間美観を保てる
- デメリット:価格が高め
無機塗料
無機塗料は、最も耐久性に優れた塗料です。紫外線に強く、長期的に塗り替えの必要が少ないのが特長です。
- 耐用年数:15〜20年
- メリット:最高クラスの耐候性
- デメリット:非常に高価
塗料の比較表まとめ
塗料の種類 | 耐用年数 | 価格帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル | 3〜5年 | ★☆☆☆☆ | 低価格だが耐久性が低い |
ウレタン | 5〜7年 | ★★☆☆☆ | 密着性に優れ扱いやすい |
シリコン | 10〜12年 | ★★★☆☆ | コスパと性能のバランスが良い |
ラジカル制御型 | 12〜15年 | ★★★★☆ | 紫外線に強く高耐候・コスパも良好 |
フッ素 | 15〜20年 | ★★★★★ | 高耐久で長持ち |
無機 | 15〜20年 | ★★★★★ | 最も耐久性が高い |
塗料選びで後悔しないための3つのポイント
外壁塗装を検討する際には、まず塗料の種類を知ることが大切ですが、
それと同じくらい「どう選ぶか」も重要です。選び方を間違えてしまうと、
「思っていたより早く色あせてしまった」
「もっと長持ちする塗料にすればよかった」
などと後悔することにもなりかねません。
ここでは、塗料選びで失敗しないために、事前に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
1. 耐用年数とライフプランを照らし合わせる
塗料にはそれぞれ耐用年数が設定されており、グレードによって5年程度のものから20年持つものまでさまざまです。
ここで重要になるのが、ご自身の「今後の住まい方」とのバランスです。
例えば、「今の家はあと5年〜10年の間に建て替える予定だ」という方にとっては、高耐久の無機塗料などを選んでしまうと、かえってコストパフォーマンスが悪くなってしまうかもしれません。
一方で、「この家には長く住み続ける予定だ」という方には、初期費用は多少かかっても、フッ素塗料や無機塗料のような高耐久型のものを選ぶことで、長期的な満足度が高くなるでしょう。
つまり、塗料の選定では「家の未来」と「塗料の寿命」が一致しているかを考えることがポイントになります。
2. 初期費用だけでなくメンテナンスコストにも注目する
「とにかく安く済ませたい」と思う気持ちは誰にでもあるかもしれません。しかし、安価な塗料には耐用年数が短いというデメリットがあります。
例えば、5〜6年で劣化してしまう塗料を選んだ場合、10年のうちに2回塗り替えをする必要が出てきます。結果的に、最初は安くても、トータルでは高くついてしまうというケースが少なくありません。
反対に、初期投資はやや高めでも、15年〜20年持つ塗料を選べば、塗替えの回数が少なくなり、長期的にはお得になることもあるのです。
このように、「今の出費」だけでなく、「将来にわたる維持費」までを視野に入れて塗料を選ぶことが、後悔のない塗装につながります。
3. カタログだけで判断せず、信頼できる業者に相談する
塗料の性能はカタログに数値として掲載されていますが、それだけを見て判断するのは危険です。
なぜなら、実際の家の状態や立地条件、日当たり、湿気の多さなどによって、塗料の劣化スピードは大きく変わってくるからです。
そこで大切なのが、信頼できる業者のアドバイスを受けることです。
現場経験が豊富な職人や担当であれば、
「この立地ならこの塗料がもちやすい」
「この素材にはこの塗料が最適です」
といった、より具体的で実践的な提案をしてくれます。
また、1社だけで決めてしまうのではなく、複数の業者から提案をもらい、それぞれの意見や見積もりを比較することで、納得感のある選択ができるようになります。
まとめ
塗料選びは、ただ「高ければいい」「人気があるから安心」といった感覚で決めてしまうと、思わぬ失敗につながることもあります。
外壁塗料は種類が多く、それぞれにメリット・デメリットがあります。価格だけで決めるのではなく、耐久性や塗替え回数、ライフプランなどを総合的に考えることが大切です。
まずは、ご自宅の外壁の状態をしっかり確認し、複数の塗料を比較することから始めてみてください。そして、信頼できる施工業者と一緒に、最適な塗料を選んでいきましょう。